ジーンズの生地について
ジーンズの生地の話の前に、綿と糸の話をします。
綿の繊維はほぼ1cm~5cmの長さです。繊維が長く強い綿が高級とされています、
より細い糸は繊維の長く強い糸からしかできません。
海島綿(シーアイランド・コットン)が最高級品とされ、
エジプト綿がそれに次ぐものとされていますが、
ジンバブエ・コットン等新しい良い綿も出てきています。
では、繊維の短い綿は使えないのかというと、そんな事はありません。
例えば、インド・パキスタンの「デシ綿」は糸を紡ぐ為には、
繊維の長いアメリカ綿を混入させなければ成りませんが、
布団や脱脂綿に使用するには最適です。
また、先ほど出たインド綿のシャツの生地などは、
生地に独特の肌触りと風合いを持っています。
繊維の長い綿ではあの風合いや触り心地は出ません。要は適材適所なのでしょう。
ジーンズには、高級綿の方が良いのでしょうが、ファション性やジーンズという性質上、
ある程度の品質があれば充分でしょう。
ジーンズの糸
ジーンズの綿糸についてお話したいと思います。
糸によって多少の差はありますが、必ず撚りがかかっています。
この撚りの少ない糸を甘撚糸と言います。
甘撚糸は普通の糸より膨らみのある、柔らかい感じに成っています。
その性質から、ニット製品や編物の生地に使用されている事が多いです。
●強撚糸(きょうねん糸)
強撚糸は撚りの強い糸の事です。この糸は主に織物に使用されています。
この強撚糸を生地にすると張りや腰のある生地に成ります。時として、
硬さを感じるようにも成ります。
そのような感覚をも利用して、
縮緬(ちりめん)や綿縮(めんちぢみ)を作ります。
その時はとりわけ横糸に撚りの強い糸を使用しています。
ジーンズには、ある程度の撚りの強さが必要なのですが、あまり強すぎても困ります。
ジーンズを選ぶ時には、柔らかさの中にも「張り」や「腰」を感じられる生地が良さそうです。
ただ、洗い加工によっても変わってきます。
ジーンズの生地:チノ・グログラン・ダウンプルーフ
・チノ
「ウエスト ポイント」とほぼ同じ生地です。
CHINOは、中国を意味するスペイン語ですが、米軍がフィリィピンに駐留していた時に、
この生地の制服が、中国経由で調達されたため、この名が付けられました。
・グログラン
しっかりして目の詰まった、横に畝のある生地です。
普通の幅の生地もあるが、リボンやテープに多くあります。
目の詰まって、畝があるので、皺が出来にくく、音立ちにくくなっています。
・ダウンプルーフ
ダウンジャケットの良い製品は、ダウンが飛び出して来ません。
それは、軽い目の詰まった生地で袋を作りその中にダウンを詰め、
その袋をジャケットに入れているからです。その、生地をダウンプルーフといいます。
その生地で作った、パンツも時たまあります。
・ダック
一番始めにジーンズが出来た時は、帆船や、昔のテント生地で作られた、
作業服でした。
その当時は「ジーンズ」という名前も無く、「リベットで補強した、ズボン」と
呼ばれていました。
その当時は、このダック(帆布)で、ジーンズが作られていました。
ジーンズの生地:葛城・ピケ・ウエストポイント
・葛城「カツラギ」
ブラックジーンズに良く見られる生地です。
太番手の糸を使い、左綾に織った生地で、丈夫で質実なつくりになっています。
縦糸の密度が横糸より多いため、畝の角度がきつくなっています。
雨滴が流れ落ちやすい素材のため、軍服や野外の作業服の生地に適しています。
・ピケ
かまぼこ型の縦に畝のある織物です。
畝幅は細いものから太いものまで種類がいろいろあります。
夏物のジーンズに多くみられますが、最近では厚手のピケで冬物のジーンズもつくられています。
・ウエスト ポイント
アメリカ陸海軍の制服規格の生地か、それに近い生地です。
チノパンに多く使用されている生地でカツラギの高級品になっています。
コーマ糸の双糸を使い、シルケット加工、防縮加工を施しています。
ウエスト ポイントは陸軍仕官学校の所在地です。
ジーンズの生地:コーデュロイ・スラブデニム
・コーデュロイ
冬のジーンズに良くみられる、おなじみの生地です。
コーデュロイは毛がぬけるから・・・と嫌がる方も多いのですが、
昔は1本の縦糸に掛かって起毛をさせていましたが、
現在は3本の縦糸に掛かって起毛させており、毛が抜けることも少なくなっています。
また、この生地は縮みが大きく、染料の種類によっては、
同じサイズでも大きさが異なることがよくあるので、同じメーカー、
同じ型番でも必ず試着して見てください。
・スラブデニム
2000年ごろから登場したデニムです。
横糸の太さが、非常にランダムになっており、太さや細さの差が非常に激しいです。
ですので、デニム生地自体の凹凸も非常に激しくなっています。
外観も非常に個性的です。で、凹凸の激しさは、肌の当たる内側にとりわけ出ます。
ですので、肌に直接触れる面積が少なく、独特の履き心地と爽やかさがあります。
夏、汗をかいても、べとべとと肌にまとわり付かず、冬、ジーンズを穿くときも、
ヒヤッとしません。
製品化はすくないですが、評判の良いジーンズです。
ジーンズのウオッチポケット誕生
リーバイス・ジーンズにウオッチ・ポケットの生地がつけられたのは1900年頃の事だそうです。
それは、実際のジーンズ着用者からの要望で、
ウオッチ・ポケットの生地が付けられるようになったといわれています。
ただ、この1900年の段階ではヒップ・ポケットは右側の1個だけでした。
左側にもヒップ・ポケットの生地がつくようになったのは1905年の事だったようです。
俗に“ファイブ・ポケッツ”という言葉がありますが、
その意味ではウオッチ・ポケットは4番目、
左側のヒップ・ポケットは5番目のポケットということになります。
1930年代に入って、懐中時計から腕時計が主流の時代になっていきます。
ですが、ウオッチ・ポケットの伝統は消えることがなく現在に至りました。
ジーンズの右フロント・ポケット生地内側の小型ポケットは、
コインなどを入れるのに便利だったからです。
しかしジーンズのウオッチ・ポケットは何も右側につけられると限ったことではなかったようです。